通信制大学への入学を考えたとき、「卒業論文って必要なの?」と不安になる方は多いのではないでしょうか。実は、卒業論文が必須かどうかは大学・学部によって大きく異なります。卒論なしで卒業できる大学もあれば、必修として課している大学もあるため、事前にしっかり確認しておくことが大切です。
この記事では、通信制大学の卒業論文に関する基本情報から、卒論が必要な大学・不要な大学の具体例、そして実際に卒論を書く場合のコツまで、幅広く解説していきます。これから通信制大学への入学を考えている方はもちろん、すでに在学中で卒論に不安を感じている方にも役立つ内容です。

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通信制大学の卒業論文とは?
通信制大学の卒業論文(卒論)は、4年間の学びの集大成として自分で研究テーマを設定し、論文にまとめるものです。通学制の大学と同様に、学士の学位を取得するための最終課題として位置づけられています。
ただし、通信制大学では卒業論文の扱いが大学によって異なります。大きく分けると以下の3パターンがあります。
- 卒論必修型:卒業論文の提出が卒業の必須条件となっている
- 卒論選択型:卒業論文を書くかどうかは学生自身が選べる
- 卒論なし型:卒業論文自体が存在しない(所定の単位を取得すれば卒業できる)
通学制では卒論が必修の大学が多いですが、通信制大学では選択制や不要としているところも珍しくありません。これは、社会人学生が多い通信制の特性を考慮した制度設計といえます。仕事や家事をしながら数万字の論文を書くのは大きな負担になるため、卒論を必須としない大学が増えている傾向にあります。
卒業論文が必要な通信制大学
卒業論文を必修としている代表的な通信制大学を紹介します。これらの大学では、卒論を提出しなければ卒業が認められません。入学前に必ず確認しておきましょう。
慶應義塾大学 通信教育課程
慶應義塾大学の通信教育課程では、すべての学部(文学部・経済学部・法学部)で卒業論文が必修です。卒業論文指導を受けたうえで論文を提出し、さらに口頭試問にも合格する必要があります。慶應通信の卒業率が低いと言われる理由の一つが、この卒論のハードルの高さにあります。特に口頭試問では、論文の内容について教員から質問を受け、的確に回答しなければなりません。
法政大学 通信教育部
法政大学通信教育部の文学部では、卒業論文が必修科目となっています。卒業論文指導(卒論ゼミ)に参加し、指導教員のもとで論文を完成させる流れです。経済学部と法学部では選択科目の場合もあるため、学部ごとに確認が必要です。法政大学の場合、卒論ゼミはスクーリング形式で行われることもあり、直接指導を受けられる点が心強いポイントです。
日本大学 通信教育部(一部学部)
日本大学通信教育部では、文理学部で卒業論文が必修です。「一般指導」「個別指導」「専門指導」の3段階の指導を順番にクリアして論文を仕上げていく制度になっています。段階的に進められるので、初めて論文を書く方でも安心して取り組めるでしょう。法学部・経済学部・商学部では卒論は選択科目となっています。
卒業論文が不要な通信制大学
一方で、卒業論文なしで卒業できる通信制大学も多くあります。「論文を書くのは不安」「仕事が忙しくて論文に割く時間がない」という方には、以下の大学が検討候補になるでしょう。
大手前大学 通信教育部
全科目が自由選択制で、必修科目が一切ありません。卒業研究(卒業論文)も必修ではないため、選択しなければ卒論を書かずに卒業可能です。完全オンラインで卒業できることでも人気があり、社会人学生からの支持が高い大学です。
東京通信大学
東京通信大学では卒業論文は必修ではありません。所定の単位を修得すれば卒業が認められます。情報マネジメント学部・人間福祉学部ともに、卒論なしで学士の学位を取得できます。学費も比較的リーズナブルで、コストパフォーマンスに優れた選択肢です。
北海道情報大学 通信教育部
北海道情報大学の通信教育部も必修科目がなく、卒業論文は選択科目です。経営情報学部で、ITやビジネスを学びながら卒論なしで卒業できます。情報系の資格取得を目指す方にも適した大学です。
サイバー大学
ソフトバンクグループが運営するサイバー大学でも、卒業論文は必修ではありません。IT総合学部で、100%オンラインかつ卒論なしで大卒資格を取得できます。IT・ビジネス分野に特化したカリキュラムが特徴です。
産業能率大学 通信教育課程
産業能率大学の通信教育課程では、卒業研究は選択科目です。マネジメントや心理学を学びながら、卒論を書かずに卒業することが可能です。卒業率約70%という高い数字が示すとおり、卒業しやすい大学として知られています。

卒業論文を書くメリット・デメリット
卒論が選択制の大学に通っている場合、「書くべきか書かないべきか」で悩む方もいるでしょう。それぞれのメリットとデメリットを詳しく整理します。
卒論を書くメリット
- 学びの集大成になる:4年間で学んだことを一つのテーマに落とし込むことで、知識が体系化されます。断片的だった知識が一つにつながる感覚は、他では得られない達成感です
- 論理的思考力が身につく:文献調査・分析・考察のプロセスを通じて、仕事にも活かせる思考力が磨かれます。特に社会人にとって、この経験は業務での問題解決にも直結します
- 大学院進学に有利:大学院への進学を考えている場合、卒論の執筆経験は大きなアドバンテージになります。研究の基本的な進め方を理解していることが前提となるためです
- 達成感と自信を得られる:困難を乗り越えて論文を完成させた経験は、大きな自信になります
卒論を書かないメリット
- 時間的な余裕が生まれる:卒論にかかる数か月〜1年の労力を、他の科目の学習や資格取得に充てられます
- 卒業までのハードルが下がる:卒論で挫折するリスクを避けられ、卒業の確実性が高まります
- 仕事との両立がしやすい:社会人にとって、卒論の負担がないのは非常に大きなメリットです。繁忙期と卒論の締切が重なるリスクもなくなります
通信制大学の卒業論文の書き方と進め方
卒論が必修の大学に通っている方や、選択制で卒論に挑戦したい方に向けて、通信制大学ならではの卒論の進め方を解説します。
ステップ1:テーマを決める
卒論で最も重要なのがテーマ選びです。テーマ選びを間違えると、後から方向転換するのが困難になります。以下のポイントを意識しましょう。
- 自分が本当に興味のあるテーマを選ぶ(長期間取り組むので興味がないと続かない)
- 先行研究が十分にあるテーマを選ぶ(参考文献が少ないと論文が書けない)
- テーマは広すぎず狭すぎず設定する(「心理学について」は広すぎ、「特定の被験者1名の分析」は狭すぎ)
- 自分の仕事や生活経験と関連づけられるテーマだと、調査もしやすく深い考察ができます
ステップ2:先行研究を調べる
テーマが決まったら、関連する論文や書籍を徹底的に調べます。通信制大学生が活用できるデータベースとして、CiNii Research(国立情報学研究所)やGoogle Scholarが便利です。大学の図書館の電子リソースも積極的に利用しましょう。通信制大学生でも大学図書館の利用権限が与えられるケースがほとんどなので、遠慮なく活用してください。
先行研究を調べる際は、見つけた文献の参考文献リストも確認しましょう。そこからさらに関連する文献を見つける「芋づる式」の文献探索が効果的です。
ステップ3:アウトラインを作成する
論文の全体構成を先に決めておくことで、執筆がスムーズに進みます。一般的な構成は以下のとおりです。
- 序論(研究の背景・目的・問題提起)
- 先行研究のレビュー
- 研究方法
- 結果・分析
- 考察
- 結論
- 参考文献リスト
アウトラインの段階で指導教員に見てもらい、方向性に問題がないか確認してもらうことをおすすめします。
ステップ4:指導教員とのコミュニケーション
通信制大学の卒論指導は、メールやオンライン面談で行われることが多いです。対面の指導と比べて回数が限られるため、一度の面談で多くのことを確認できるよう、質問事項をあらかじめリスト化しておきましょう。指導教員からのフィードバックを積極的に受け、方向性がズレないようにすることが大切です。
ステップ5:執筆と推敲
下書きが完成したら、必ず複数回の推敲を行いましょう。誤字脱字のチェックはもちろん、論理の飛躍がないか、引用のルールが守れているかも確認します。可能であれば、家族や友人に読んでもらって感想を聞くのも効果的です。第三者の視点から「わかりにくい部分」を指摘してもらえます。

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卒論のスケジュール管理術
通信制大学の学生は仕事や家事と両立しながら卒論に取り組む方がほとんどです。計画的にスケジュールを立てることが、卒論完成の鍵になります。「いつかやろう」では絶対に間に合いません。
おすすめのスケジュール例(1年間の場合)
| 時期 | やること |
|---|---|
| 4〜5月 | テーマの検討・決定、指導教員への相談開始 |
| 6〜8月 | 先行研究の調査・文献収集、アウトラインの作成 |
| 9〜10月 | データ収集・分析、本論の執筆開始 |
| 11〜12月 | 論文全体の執筆(序論〜結論) |
| 1〜2月 | 推敲・修正・指導教員への最終確認・提出 |
毎日少しずつでも進めることが重要です。「週末にまとめてやろう」と思うと、なかなか進まないのが卒論の怖いところです。平日でも1日30分、通勤時間に文献を読むなど、細切れの時間を活用する工夫をしましょう。
通信制ならではの卒論の注意点
指導の回数が限られる
通学制と違い、指導教員との対面機会が少ない通信制大学では、一度のやり取りで的確に意思疎通を図る必要があります。メールでの質問は、具体的かつ簡潔に書くことを心がけましょう。漠然とした質問では、教員も的確に回答しにくくなります。
図書館の利用に制約がある
通信制大学の学生は、大学の図書館を気軽に利用しにくい場合があります。電子書籍やオンラインデータベースを活用するほか、最寄りの公共図書館の相互貸借サービスを利用するのも手です。国立国会図書館のデジタルコレクションも、自宅から利用できる便利なリソースです。
モチベーション管理が重要
卒論は長期にわたる作業のため、途中でモチベーションが下がることがあります。SNSで同じ大学の卒論仲間を見つけたり、進捗を記録して可視化したりするなど、自分なりのモチベーション維持策を持っておくと安心です。
卒論に関するよくある質問(Q&A)
Q. 通信制大学の卒論は通学制より簡単ですか?
A. 一概には言えません。求められる学術的なレベルは基本的に同じです。ただし、通信制の場合は対面での指導回数が限られるため、自主的に進める力がより求められます。自律的に研究を進められる方にとっては、むしろ通信制のほうが自分のペースで取り組める利点があります。
Q. 卒論の文字数はどのくらいですか?
A. 大学によって異なりますが、一般的には20,000〜40,000字程度が目安です。慶應義塾大学では30,000字以上が求められるケースもあります。文字数が多いと感じるかもしれませんが、1日500字ずつ書けば2〜3か月で達成可能な量です。
Q. 卒論が不合格になることはありますか?
A. はい、あります。特に慶應義塾大学や法政大学では、基準を満たさない場合は不合格となり、再提出が求められます。指導教員の助言をしっかり反映させることが合格のポイントです。不合格になっても諦めずに修正して再提出すれば、合格の可能性は十分にあります。
Q. 卒論のテーマは自由に選べますか?
A. 基本的には自由ですが、所属する学部・学科の専門分野に関連するテーマである必要があります。指導教員と相談しながら決めるのが一般的です。自分の仕事に関連するテーマを選ぶと、調査や分析がしやすくなるのでおすすめです。
Q. AIを使って卒論を書いてもいいですか?
A. AI(ChatGPTなど)を文章作成に直接使うことは、多くの大学で禁止または制限されています。AIが生成した文章をそのまま提出した場合、不正行為として処分の対象になる可能性があります。情報収集の補助として使う程度にとどめ、必ず自分の言葉で論文を書きましょう。
卒業論文の提出期限は厳守です。期限を過ぎると受け付けてもらえない場合がほとんどなので、余裕を持ったスケジュールで進めましょう。また、提出形式(紙・データ・書式など)も大学ごとに異なるため、早めに確認しておいてください。
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まとめ:自分に合った大学選びが大切
通信制大学の卒業論文は、大学によって「必修」「選択」「なし」と対応が分かれます。卒論に不安がある方は、最初から卒論不要の大学を選ぶのも賢い選択です。一方で、学びを深めたい方や大学院進学を目指す方にとっては、卒論に挑戦する価値は十分にあります。
どちらを選ぶにしても、自分の目的や生活スタイルに合った大学を選ぶことが、充実した学生生活への第一歩です。入学前に卒業要件をしっかり確認し、後悔のない選択をしてください。卒論があるからといって諦める必要はありませんし、卒論がないからといって学びが浅くなるわけでもありません。大切なのは、自分のゴールに向かって着実に歩み続けることです。


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