通信制大学を卒業したあと、「さらに専門性を高めたい」「修士号を取得したい」と考える方が増えています。通信制大学で取得した学士は通学制と同等の学位であり、大学院の入学資格を満たすことができます。
さらに、大学院にも通信制の課程を設ける大学が増えており、働きながら修士・博士の学位取得を目指せる環境が整ってきています。
この記事では、通信制大学から大学院へ進学する方法、通信制大学院の一覧、費用の目安、進学に必要な準備について詳しく解説します。

⭐おすすめ記事
通信制大学では自宅が教室になります。快適に学習を続けるために、入学前に揃えておきたいアイテムをまとめました。

通信制大学に必要なものリスト|入学前に揃えるべきアイテムと学習環境の整え方
ノートPC・ヘッドホン・学習チェアなど必需品を厳選紹介
通信制大学の学士で大学院に進学できる?
はい、進学できます。通信制大学の卒業者に授与される「学士」の学位は、文部科学省が認可した正規の学位であり、通学制の大学で取得した学位と法的に同等です。
大学院の入学資格は「大学を卒業した者」(学校教育法第102条)と定められており、通信制大学の卒業もこの要件を満たします。通学制・通信制を問わず、すべての大学院に出願が可能です。
実際に、法政大学通信教育部やサイバー大学の公式サイトでは、卒業生の大学院進学実績が紹介されています。
大学院進学のための2つのルート
ルート1:通学制の大学院へ進学
一般的な大学院(通学制)に進学するルートです。大学院入試を受験し、合格すれば修士課程(2年)に進学できます。
通学制の大学院に進学するメリットは、研究環境が充実していること、教員との対面指導が受けられることです。一方、平日昼間の通学が必要な場合が多く、フルタイムで働いている方には時間的な制約が課題になります。
ただし、社会人大学院として夜間・土日に開講している大学院も増えており、働きながら通えるプログラムも存在します。
ルート2:通信制大学院へ進学
通信制の大学院に進学するルートです。自宅での学習を中心に、オンラインでの研究指導やスクーリングを組み合わせて修士・博士の学位取得を目指します。
文部省(現・文部科学省)は1998年に通信制大学院を制度化し、1999年に最初の通信制大学院が4大学で開設されました。2003年度からは博士課程の設置も認められています。
通信制大学院の一覧
記事執筆時点で、以下の大学が通信制大学院を設置しています。
- 日本大学大学院:総合社会情報研究科(修士・博士)。国際情報、社会情報、人間科学の3専攻
- 佛教大学大学院:文学研究科・教育学研究科・社会学研究科(修士)。教員のキャリアアップに活用されている
- 明星大学大学院:教育学研究科(修士)。現職教員が専修免許状の取得を目指せる
- 聖徳大学大学院:児童学研究科・教職研究科(修士・博士)
- 東北福祉大学大学院:総合福祉学研究科(修士・博士)
- 京都芸術大学大学院:芸術研究科(修士)。芸術系で通信制の大学院は貴重
- 星槎大学大学院:教育学研究科(修士)。特別支援教育を学べる
- 放送大学大学院:文化科学研究科(修士)。臨床心理士の受験資格取得が可能
私立大学通信教育協会には、計13大学院が加盟しています。各大学院の詳細な情報は公式サイトで確認してください。

大学院進学に必要な準備
研究テーマの設定
大学院は「研究」が中心の場です。入学試験でも研究計画書の提出を求められるケースが多いため、自分が何を研究したいのかを明確にしておく必要があります。通信制大学での学習中に興味を持ったテーマを深掘りするのが自然な流れです。
入試の準備
大学院の入試は、一般的に以下の要素で構成されます。
- 研究計画書の提出
- 専門科目の筆記試験(論述形式が多い)
- 外国語(英語)の試験
- 面接(口頭試問)
通信制大学院の場合は、研究計画書と面接を重視する傾向があり、筆記試験がない場合もあります。
指導教員との事前相談
多くの大学院では、出願前に希望する指導教員と面談や相談を行うことが推奨されています。自分の研究テーマに合った教員がいるかどうかを事前に確認しておくことが、入学後のミスマッチを防ぐうえで重要です。
大学院の学費はどれくらい?
通信制大学院の学費は、通学制と比べて一般的に低く設定されている傾向があります。
- 放送大学大学院:修士全科生で2年間約50万円前後
- 日本大学大学院(通信制):修士課程2年間で約100万円前後
- 佛教大学大学院(通信制):修士課程2年間で約80〜100万円
- 通学制の大学院:私立の場合、2年間で150〜300万円が一般的
学費は変更されることがあるため、各大学院の公式サイトで確認のうえ検討してください。
大学院で取得できる資格・学位
修士号(Master’s Degree)
修士課程(博士前期課程)を修了すると、修士の学位が授与されます。分野に応じて「修士(教育学)」「修士(社会福祉学)」「修士(芸術)」などが取得できます。
博士号(Doctoral Degree)
博士課程(博士後期課程)を設置している通信制大学院もあり、研究論文の審査に合格すると博士号が授与されます。
専門職学位
臨床心理士の受験資格(放送大学大学院)、専修免許状(明星大学大学院・佛教大学大学院)など、特定の資格取得につながる課程もあります。

⭐おすすめ記事
通信制大学では自宅が教室になります。快適に学習を続けるために、入学前に揃えておきたいアイテムをまとめました。

通信制大学に必要なものリスト|入学前に揃えるべきアイテムと学習環境の整え方
ノートPC・ヘッドホン・学習チェアなど必需品を厳選紹介
よくある質問
Q. 通信制大学の成績が悪くても大学院に入れる?
大学院入試では成績(GPA)も参考にされますが、それだけで合否が決まるわけではありません。研究計画書の質や面接での受け答え、学習意欲なども総合的に評価されます。成績に自信がない方でも、研究テーマが明確であればチャンスはあります。
Q. 社会人でも大学院に通える?
通信制大学院であれば、仕事を続けながら修了を目指せます。通学制でも夜間開講や土日集中型のプログラムを設けている大学院があるので、社会人が大学院で学ぶ環境は整ってきています。
Q. 大学院に進学するメリットは?
専門性の深化、キャリアアップ、資格取得(臨床心理士・専修免許状など)、研究スキルの習得などが主なメリットです。修士号は一部の企業で昇進・昇格の条件になっているケースもあります。
通信制大学院での学び方の特徴
通信制大学院は、学部の通信制とは学び方が大きく異なります。以下の点を理解しておくと、入学後のギャップを減らせます。
研究指導の方法
指導教員とのやり取りがオンライン(メール・Zoom・Web会議)で行われるのが通信制大学院の特徴です。対面での指導機会は年に数回のスクーリング時に限られる場合が多いため、自分から積極的に質問や相談をする姿勢が求められます。
修士論文の執筆には通常1〜2年をかけて取り組みます。テーマ設定→先行研究調査→研究計画→データ収集→分析→論文執筆→審査という流れで進み、指導教員からの助言を受けながら段階的に仕上げていきます。
スクーリングと集中授業
通信制大学院でも、年に数回のスクーリング(面接授業)が実施されます。多くの場合、夏季や冬季の長期休暇中に3〜5日間の集中講義として行われ、他の院生との議論や研究発表の機会が設けられています。
修了までの期間
修士課程の標準修業年限は2年ですが、社会人大学院生の場合は延長して3〜4年かけて修了するケースもあります。長期履修制度を設けている大学院もあり、仕事との両立に配慮された仕組みが用意されています。

大学院進学後のキャリアパス
専門職としてのキャリアアップ
修士号を取得することで、専門家としての信頼性が高まります。教育分野では専修免許状の取得により給与面でのメリットがある場合もあります。福祉分野では、より高度な相談援助や研究ポジションへの道が開けます。
研究者への道
博士課程に進み、大学教員や研究職を目指すことも可能です。通信制大学院の博士課程で博士号を取得した研究者も実際に活躍しています。
独立・コンサルティング
専門分野での深い知識と修士号は、独立やコンサルティング業務の信頼性を高める要素になります。特に教育コンサルタント、福祉コンサルタント、芸術分野のプロデューサーなどでは、大学院での研究実績がビジネスに直結するケースがあります。
通信制大学在学中にやっておきたい進学準備
- GPAを意識する:大学院入試では学部の成績が参考にされることがある。余裕があれば高い成績を目指そう
- 卒業論文・卒業研究に真剣に取り組む:研究テーマの原型になることが多い
- 研究分野の文献を読み始める:関心のある分野の学術論文に触れておくと、研究計画書を書く際に役立つ
- 志望する大学院の説明会に参加する:入試情報だけでなく、雰囲気や指導方針を知ることができる
- 英語力を磨いておく:大学院入試や研究活動で必要になることが多い
通信制大学院の選び方のポイント
自分に合った通信制大学院を選ぶために、以下のポイントを確認しましょう。
- 研究分野の適合性:自分が研究したいテーマに合った専攻があるか、指導できる教員がいるか
- スクーリングの日数と場所:年に何日程度の対面参加が必要か、どの都市で開催されるか
- 修了要件:修士論文が必須か、実践報告書やポートフォリオで代替できるか
- 学費:2〜3年間の総額を計算し、教育訓練給付金の対象かどうかも確認する
- 修了生の実績:修了後のキャリアパスや就職実績が公開されているか
可能であれば、入学説明会やオープンキャンパス(オンライン開催も含む)に参加して、教員や在学生から直接話を聞くことをおすすめします。パンフレットやWebサイトだけではわからない雰囲気や研究環境を知ることができます。
まとめ
通信制大学から大学院への進学は十分に可能であり、通信制大学院を選べば、働きながら修士号・博士号の取得を目指すこともできます。
進学を検討する際は、自分の研究テーマに合った大学院を探し、指導教員との事前相談を行ったうえで出願に臨むことが成功のポイントです。
通信制大学院の詳細は、私立大学通信教育協会で加盟大学院の一覧を確認できます。放送大学大学院については放送大学公式サイトで詳しい情報が掲載されています。社会人向け大学院の情報はBrushUP学びでも比較が可能です。
⭐おすすめ記事
最後までお読みいただきありがとうございます。こちらの記事もぜひご覧ください。

通信制大学に必要なものリスト|入学前に揃えるべきアイテムと学習環境の整え方
ノートPC・ヘッドホン・学習チェアなど必需品を厳選紹介

